立ち止まりアカデミー

人が行き交い混雑する駅構内で、ふと立ち止まったらちょっと迷惑だと思う。
端に寄るなど止まるなりの礼儀はありそうだが、どうもそれに気づかないくらい、唐突に何かに気づいたのである。
しかしその気づき。
向かうホームを間違えたくらいの気づきだったりもする。
間違いは仕方ないのだが、どうせならこのくらいの驚きをもって、立ち止まってもらいたい。
「今日休みだ!!」
「俺パジャマだ!!」
「なんかわからないけど、俺血まみれだ!!」
「朝俺の家にいた人、全然知らない人だ!!」
「すっげー帯踏まれてる!!」
「首脳会談出るの忘れた!!」
一方、立ち止まりたくなるようなことが起きても、平然と方向を変えない、もちろん立ち止まりもしない人もいる。
それは先ほどの「立ち止まる人」より迷惑じゃない感じもするが、本人はどきどきしている。
そして本来の目的じゃないことが達成された頃「あそこで方向転換していれば!」と歎くのである。
基本的に、この手の人は気にしいで、誰かに「あの人道間違えたわ」と思われるのがいやなのである。
でもまずおまえは注目されていないからそんなことはいい、というものだ。
もう、全然注目されていない。
むしろ見えてない。
米軍がその技術を採用したがるくらい見えてない。
この場合で、注目されないこととは「どこかに向かって歩いている」だけで必要十分である。
となると、注目されるというのは「立ち止まる」ということであって、それなら帯くらいはだれておかないと、礼儀に反するよね。
朝の特快にて。

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