家に通ずる

帰り道、自宅前の坂をかけ流れて川の方に向かうのが好きだ。
へばっているからさっさと家に帰ればいいのだが、その坂はなかなか長いので、自転車でつっきると気持ちいいから。
その誘惑に負けたとき、僕は夜な夜な、下った先の田んぼの真ん中で深呼吸することになる。
ひどく弱った外灯があって、なかなかにいい感じだ。
と、ここに来るとまず注意したいものが「なんだかエンジンをかけたまま停車している車」だ。
なんか怖い。
何が怖いかって、本来車は走っているもので、そのためにエンジンがかかっているものだから。
よくわからん田んぼのそばで胎動しているその車は、停車しているにもかかわらず、僕の考えを超越しまくっている。
そうそれはシティコネクションのように。
圧倒的に効果的な空白のあとで恐縮だが、注意したいものがもうひとつある。
ある民家なのだが、そこの新聞受け兼塀の灯りに、無数のあまがえるが集まっているのである。
これが楽しくてしょうがない。
田んぼに来る度に、この家の玄関前に寄ってしまう。
そしてあまがえるを見つける。
「おっ今日もあまがえる」
かえるの集まる家ってのは、なんだか縁起が良さそうな気がする。
何かは全然わからないが。

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