落とし穴

落とし穴を作ったことがある。
これだけでけっこう話題にできそうなものだが、ざんねん。
こどもの頃なので、程度の差はあれど、そんなに珍しい経験ではない。
大人になってからなら、それはそういう仕事の人か、なんらかの事情でひまな大学生。
もしくはたまたま掘った穴に人が落ちてしまい、結果的に落とし穴となった事例くらいだろう。
さて、僕が子供の頃に作った落とし穴は、もう落とそう度がすごく高かった。
まるみえなのである。
薄い板で穴を隠すだとかしないため、ひっかかる人はいないのである。
その点、単に作りたかっただけと言える。
本題。
落とし穴を作ろうとしたとき、どういった「飾り」があれば、より人を効率的に「ひっかからせる」ことができるだろうか。
まずは、板をひこう。
お笑い番組などで「ちょっと浮いて板が見えちゃってる落とし穴」があるが、あれは視聴者加害者、さらには被害者ですら「落とし穴あるよ」が周知のこととなっているため、見えていても見えていない、そんな身近なまごころや気づかいのようなものなのである。
今回、僕らは「ちゃんとした」落とし穴を考えているのであって、それに「ちょっと浮いた板」は、関わる人全てに対して、失礼だ。
浮かない板にし、土壌をまぶそう。
落とし穴の向こうに、珍しい花を植えよう。
人は目的を持って行動する。あるいは行動して目的を見つける。
どちらにせよ、歩き出す生き物なのであって、珍しい花を取得するという目的によって、それが速やかになされるはずだ。
ただし、ただ一輪だけ植えるのでは少しへんなので「パンジー群のなかに一輪だけチューリップ」というような形式がいいと思われる。
落とし穴の手前に、すごく低い柵をつけよう。
違うものに気をひかせるという、ワナの常套手段である。いとも簡単にいなせる障害物に注目させておいて、どーんである。
悪である。
ここまでで、ようやく形になってきた。
ほぼ終わり。
最後には、掘ってあった落とし穴に樹木の一本でも植えよう。
お庭の完成である。

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