幻想動物生態・たんころりん

完全憶測で、いるんだかいないんだかよくわからん生物を紹介する。
◆たんころりん
和名:
たんころりん
生息地:
日本全国に広く分布
柿の実を木にならせたままほうっておくと、実の重さに耐えかねた木が化けて歩き回り、柿を落としていく。
その奇妙な行動により妖怪とも思われていたが、その後の研究で「おじいさんのひとりプレイ」であることが示唆された。
2002年初冬、「クルミって大脳みたい」という発想から35年間人面樹の研究をしていた野分氏は、常々気にしていた「たんころりん」について本格的に調査を始めた。
まず日本中から「見知らぬ柿が落ちていた」案件を採取。
そののち信頼性の高いものについては現場調査を行うことで、以下の奇妙な共通点を発見した。
「柿の落ちている場所は、通学路が多い」
どうやら「たんころりん」は通学路を通ることが多いのである。
「たんころりんに化したと思われる柿の木があるお宅には、おじいさんがいる」
そしておじいさんたちは、一様に柿のことについては口を閉ざすのである。
氏はそれまで、たんころりんは妖怪であり、柿の実を落としていくのは帰り道が分かるようにするためではないかと考えていた。
しかし以上の共通点より、野分氏は以下のように分析をした。
柿の実は、おじいさんが早朝落として回っているのではないだろうか。
おじいさんが子供の頃は、柿の実といえば手ごろに入手できる果物。
しかしその「手ごろ」とは「柿どろぼう」の行為に他ならない。
よって、おじいさんたちと柿の木所有者との間では、柿をめぐるドラマが日々展開されていたのである。
しかし時代は変わった。
柿の実がなっていても、わざわざ他人のうちのものを盗もうとする輩はいなくなった。
「くぉうらぁ!! この悪がきどもがぁ!!」
おじいさんになってそう言うことを少々楽しみにしていたおじいさんたちは、庭に平然となる柿の実を見て哀愁を感じたのである。
そして少しでも柿に興味を持ってもらおうと、子供達の通る通学路にそれをまいたのではないだろうか。
これが通学路に柿が落ちていて、かつおじいさんたちが口を濁らす理由である、そう考えている。
ただ、不明な点もある。
おじいさんがどのようにして多量の柿の実を取ったのか、である。
確かに現在、ハイ枝切りパニッシャーなどを用いた、高い木につく実を取得する方法はいくらでもある。
しかし数が多いのである。
例えば足立区のある通学路では、柿の実が30cmおきに、整然と落ちており、事件当初は「新しい陳列方法ではないか」「ローラースケートの練習ではないか」などの憶測が飛び交ったくらいなのである。
この不明な点について、私は新たな仮説をたてた。
柿の木とおじいさんの間に、何かしらの非現実的なこ
?????
氏が行方不明となっている今、この書きかけの論文がどのような形で終わるのかは誰にも分からない。
飲みかけのコーヒーすら残る書斎に、柿の実がひとつ落ちていたことは何を意味しているのか。
今、氏の庭にある柿の木には、実がひとつもなっていない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です