香り

「干したてのふとんみたい・・・」
彼女は僕の胸のなかで、そうつぶやいた。
彼女の涙でぐしゃぐしゃになりながらも、僕は気になることがあった。
1:干したてって、それほど暖かくないのではないか
2:ほめられていると考えてよいのか
3:少しおかしいのではないか
箇条書きにしてみた。
1について考えてみよう。
あまり聞かない言葉だ「干したて」。
そもそも「干す」というのは、「長い時間をかけて」みたいなニュアンスがあるような気がする。
干ししいたけだって、あんなおばあちゃんみたいになるまでは、多くの歳月を費やしただろう。
その点は本当におばあちゃんだ。
そこにきての「干したて」だ。
「長い間干してきたものを、すぐここに持って来ました」という意味の「たて」なら、いい意味なのだろうが、「干してはみたが、それよりも持ってくることを優先しました」だと、ちょっといやだ。
ちゃんと干されてないのはいやだ。
それは「ちょっとそこらに置いていました」となんら変わらないから。
少し震えている。
2について考えてみよう。
これはほぼ2と同じ問題だが、少し彼女の嗜好も関係するだろう。
すなわち「彼女はカビくさいにおいが好きだ」という点。
体臭とかもあるだろうけど、基本的には物を干せば、例のいいにおいがする。
それを好きな人は多いが、一方でちゃんと干せなかった衣類が放つ、ちょっとカビくさいにおいが好きな人もいそうではある。
そんなことを考えると、?をどう捕らえてよいのか、なおさら難しいところだ。
少し落ち着いてきた。
3について考えてみよう。
いや、そんなはずはない。
彼女におかしなところなんて、ひとつもない。
僕が彼女をそっと引き寄せると、洗髪料のいい香りが漂った。
僕はつぶやいた。
「挽きたてのコーヒーみたい・・・」

辞世

おいおいなんかかっこいいんじゃね、的な死に際セリフを考えてみた。
=====
「ネゴシエーターだったんなら、撃たれないようにしていたさ」
享年42歳
「明日はあの柵の向こうだ。俺は行かない」
享年28歳
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダ」
享年35歳
「葬儀はシンプルに。参列者には餅を振舞うように」
享年68歳
「aiko内の歌の区別が、つかなくなったことだしね」
享年26歳
「このことは問題じゃない。だいじょうぶだ」
享年31歳

足に影響

アントニオ猪木とアントリオン命は似ているなあ。
こんばんは。
雪ですね。
くそ寒いことを除けば、水を打ったったように静まり返った町、少しだけ明るい夜空とぞくぞくすることが多いですね。
震えで歯が鳴ることを除けば、雪の降るなかで空を見上げると、なんだかスクリーンセーバーみたいで楽しいですね。
おそらく明日の通勤通学がヤラれてしまうことを除けば、窓から見える雪化粧はなかなか格別のものですね。
それはそれはミルメコレオくらい、はかない命ですから。

夢と追撃

夢のなかではうまく走れないといった記述の本に、複数出くわした。
ある作家は夢の中で案山子に追われ、焦るがうまく走れない。
ひどく怖かったという。
またある漫画では、夢のなかでうまく逃げられなかったため、胸をひとつきされていた。
案山子の例について。
物も言わずぴょんぴょんついてくる案山子となればハウルのどうこうが思い出される向きもあるだろう。
しかし僕が今シミュレートしてみたところ、かなり怖い気がする。
特に怖いと思われるのは「だいぶ遠くから追ってきているのが見える」だ。
遠くで何かがぴょんぴょんしている。
よく見ると案山子だ。
これが、遅いながらも確実に追ってくるのだ。
案山子がぴょんぴょんしているだけでも怖いのに、確実に自分に用があるのだ。
案山子が俺に、何の用・・・。
と考えなくとも、表情動作から心を汲み取ることができない相手というのは、恐怖だ。
ところで僕もそういった夢を見ることがある。
追ってくるのは「ブラックマンバ」という毒蛇だ。
怖がりだがなまじっか興味があるものだから、爬虫類の図鑑ばかりを見ていた悲しい幼少期。
そのなかには様々な蛇が載っていて、その毒性についても触れられていた。
ブラックマンバだけでしたよ。
「毒が非常に強く、逃げても追ってきて噛み付く。」
こんな詳細。
さらに口の中が黒いとか書かれていて、思わず想像してしまう。
それがいけなかった。
夢のなかで口をあけた蛇が追ってくるのだ。
うまく走れない。
ああ、口の中、黒いやん。
ブラックマンバやん。
走れないやん。
まだ口開けてるやん。
噛む気マックスやん。
よう走られん。
で、目覚める。
つらい。
日本なのに、追われたこともないのに、ブラックマンバに追われて目覚めたくはないのです。
ブラックマンバさん。
あなた迷惑かけてますよ。
と、こんな風に書いたところで、やっぱり追われるんだろうなぁ。

かわはぎ

キャットフードコーナーに差し掛かるところで、こんなものを見つけた。
「かわはぎ」
犬猫に与えるらしいおやつだった。
よく見ると、酔っ払いおっちゃんが一生懸命噛んでいそうな、立派なかわはぎだ。
飼い犬猫はいいものを喰っている。
それにしても堂々と「かわはぎ」と書かれたパッケージ。
その字の左上に付加されていた、何か遠くを見つめる犬猫のイメージ画像もあいまって。
「ああ犬猫にとっては、かわはぎは思い馳せるものなんだな」と感心してしまった。
しかし「かわはぎ」は、何か隙を突かれてしまい、面白い。
そんなに堂々と「かわはぎ」と書かれてしまっては「そうだよねかわはぎだよね、ごめんなさい」と意味もなく謝ってしまいそうだ。
かなりバイオレンスなネーミングなのに。
ちょっと、かわはぎおもろかったななどと言いながら進むと、次は同じシリーズの「いわし」があった。
このとき、僕らはなんとなくわかっていた。
「なんか分からんけど、今は4文字のがいい」
いわしの棚を探してみると、あった。
「きびなご」
僕らは「か?わ?は?ぎ?」「き?び?な?ご?」と言いながら、よりちゃんと探した。
「ぶたみみ」
かなりいいのが見つかった。
このへんまでくれば、あとは商品がなくとも「ぶたばな」は想像できるし、そもそももうモノを見ることさえ必要ない。
なんとなく4文字のものを発想して、勝手に面白がれる、自己完結型に推移できるのだ。
「かわはぎ」「きびなご」「ぶたみみ」「みねうち」。
「かわはぎ」「きびなご」「みねらる」「しずおか」。
「かわはぎ」「ふりつけ」「うずまさ」「いりのい」。
「みねらる」に思い馳せる犬猫を想像して、たまらなくなった。

ひもじさ炸裂

熱帯魚に淋しいなんて感情はなく、せいぜいひもじいくらいだろう。
だから男女間のどうこうを考えることなく、水槽上部から赤虫ちゃんみたいなものをふりかけ与えればいいのであって、必要ならヒータの温度もあげたろうや、ということではないだろうか。
本来、こういったことを書くなら「ひもじい熱帯魚」というものが既にあるかどうかを確認する必要があるかもしれない。
知らないところで「ひもじい熱帯魚」一大ブームみたいなものが巻き起こっており「淋しい熱帯魚をもじったひもじい熱帯魚まんじゅう発売」なんてことになっていたら、それを知らずにひとネタにしちゃったよ的な、少々恥ずかしいことになってしまうからである。
一方で調べてみたけど「ひもじい熱帯魚」なかったよ、となっても安心はできない。
実は「ひもじい熱帯魚」、Winkに少しでも触れたものならほぼ確実に一度は発想できていた。
そして彼らにとってそれは、歯牙にも掛けないものだったのだ。
もしそうだったら、それは使用されていることはないが、使用するのも・・・という感じになる。
結局、思いついたら何も考えずに書いてしまえばいい気もする。
しかし、検索バーに「ひ」と入力したら「ひもじい熱帯魚」と表示してくれるPCも案外捨てがたい。

体操

しゅわしゅわムッフフフ体操、はーじまーるよー!!。
??????????
♪ しゅわしゅわ
♪ ムッフフフ
♪ しゅわしゅわ
♪ ムッフフフ
♪ いい子にしてれば
♪ サーティワーン
♪ 舌がうまさで
♪ よろこび震える?
「さあここで、手を大きく挙げて?」
♪ さ?んせ?い さ?んせ?い
♪ かはんすう越え さ?んせ?い
「みんなでムー・フェンスの陣形を組んで、2番だ!!」
♪ しゅわしゅわ
♪ ムッフフフ
♪ しゅわしゅわ
♪ ムッフフフ
♪ 初恋の顔が
♪ ぼんやり?
♪ 美化をするにも
♪ 情報少ない?
「さあここで、落ちてるせみに手を差し伸べて?」
♪ ブロ?チ? ブロ?チ?
♪ 衣服につかませ ブロ?チ?
生まれてくるときは、誰だってひとりぼっち。
でも、そんなことより。
すぐに男の子か女の子か確認されちゃうことがいやんならないかい。
確認しないという「夢」、なんてのもあるんじゃないかな。
十代前半くらいは中性でいいよね。
そんな僕は、生まれる前から判別されちゃってた。
・・・おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。
「よーし最後は、漫然とした位置づけで3番だ!!」
♪ しゅわしゅわ
♪ ムッフフフ
♪ しゅわしゅわ
♪ ムッフフフ
♪ 夢と希望が
♪ しゅわしゅわ?
♪ 愛と友情
♪ ムッフフフ?
「さあみんなで、中央に集まって?」
♪ 締?め? 締?め?
♪ 語呂悪いけど 締?め?
??????????
ひどく疲れてんな。

閑居して

予定をしていなかった休日をもてあまそうとしていた僕は、降り出した雨を前に、ああもてあますんだなと覚悟した。
仕方がないのでPCをつけた。
何か書こうかと考えたけれど、何も思いつかない。
それではといろいろなサイトを眺めてみることにした。
かれこれ小一時間。
たいそう面白かったのだが、それが逆にブログ更新の意欲を損ねた。
「なんやみんなおもろいこと書いてんやん・・・」
QUEENが流れてきた。
冷蔵庫にたいやきがあることを思い出した。
僕は、たいやきはあんこがあまり入ってないほうがおいしいと思う。
あんこはとにかく甘いのだ。
だから「しっぽの先まであんこが入ってる」という褒め言葉が分からない。
しっぽの先まであんこが入っていたら、いったいどの部分であんこ休みを取ればいいんだ。
冷蔵庫のたいやきは、僕の意見を知ってか知らずか、あんこみちみちだ。
「そういえば「かぶとむしの幼虫をあんこで育てて、動くまんじゅうにしよう」という試みがあったな・・・」
都はるみは流れてこなかった。
デジカメを買ったのにな。
まだほとんど遊んでない。
メディアを取り出してPCに取り込んでみる。
猫と近所の神社。
そして「よく分からない部屋の隅」の写真だ。
なんで「よく分からない部屋の隅」を撮ったんだろう。
見慣れているよ。
試し撮りなら、例えば何かを撮り、その背景をぼかせば案外いい感じになるのに。
振り返ればそのままある景色が、今モニタに表示されている。
「前に「映画マトリックスで、仮想現実空間でデータをローディングする人のまね」を思いついたけど、まだ価値あるかな・・・」
東京事変が流れてきた。
こないだ見た何かの漫画のバナーに、気になるのがあった。
男前がかわいい女子に「お前は牛そっくりだな」みたいなことを言っている。
実際漫画を読んでみないことには、何が起きているのか分からないセリフではあるが。
胸が大きいことを揶揄したのだろう。
それを聞いてか、彼女には「えぇー」みたいなふきだしがついていた。
・・・そこは絶対「もぉー」の方がいいんじゃないだろうか。
漫画の展開上、そこでそういうのはいらなかったのだろうか。
正直ワンツー過ぎてしまうきらいがあったのだろうか。
しかしバナーで、一こまくらいしかないんだから、「お前牛みたい→もー」くらいは、むしろ礼儀じゃないか。
そうでもないのか。
俺今、めんどくさいことになってんのか。
と、これが休日をもてあますということ。
またQUEENが流れてきた。

悲しい比喩2

「チホ、こないだ一高の制服来た男と歩いてたよ」
そいつは俺がチホと付き合っていることを知ってか知らずか、こともなげにそう言った。
チホと付き合い始めてもう2年になる。
ひやかされるのがいやだったのか。
何か罪悪感を感じたのだろうか。
俺たちは誰にもばれないように会っていた。
でも、待ち合わせの時間すら幸せだったし、部屋で雑談するのも楽しかった。
しかし、近頃急に連絡がつかないようになった。
何か忙しいそぶりをして、俺と会おうとしてくれなかったように感じた。
廊下で出会っても、前と同じような知らんふりが、今ではつらくなった。
それがもう2週間になる。
チホが他校のやつと?。
不安が、ガンダムSEEDのMSVのように、増大していった。
前回の。
悲しい比喩

粘り腰

本日のディスカッション
「近頃の朝青龍話題における惰性について」
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中略
?朝青龍のあだ名がおてもやんだったら、もっと違ったかもについて?
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「ということで、朝青龍についてです」
「今日の朝も、なんだか朝青龍でしたよ」
「そんなにか、という感じだよね」
「大きくくくって、朝青龍ファンが多すぎるよ」
「大きくくくってって、なんだか「大き」を注目しろっていう風に見えますね」
「僕が思うに、じゃあ朝青龍やんなかったら何やるんだという風があると思う」
「風が」
「そう」
「もう落ち着いていいんじゃないか。次回話題でいいんじゃないか。みんなそう思っているけど、なんとなく朝青龍で落ち着いちゃった」
「いや、落ち着いたというよりか、ね」
「惰性。何かの惰性で、朝青龍なんだよ」
「さすが横綱、ここまで居残り続けるなんて。粘り腰ですね」
「こらお前!!」
「じゃあ何がこの惰性を止めるんですかね」
「正直、この流れはいやだね」
「どんどん面白いこと挙げて、みたいな」
「いやですね」
「ないよ面白いの」
「・・・惰性、結構いいんじゃないのか?」
「ああ、僕もそう思ってましたよ」
「いいじゃない、朝青龍の惰性。本人がいやじゃなければいいんだけど」
「そうそう」
「・・・実を言うと俺、小2から惰性なんだ」
「俺は中1から、もう惰性期に入った」
「早熟なのかあほなのか、よくわかりませんね」
「部長はもう惰性期も終わってるよな」
「え、そうなんですか」
「俺はもう、あれだ」
「・・・」
「根づきだ、根づき。根づ期」
「確かに惰性期終わってますね」