麻ひも

せっかく指輪を買ったのに。
それはネット上で、サイズのことも考えなかったためか、やたら大きかった。
12星座を刻印したそれは、へびつかい座のことをぼやりと思い浮かばせながら、親指ですらするりと抜けていく。
仕方がないので麻ひもを通して首飾りにしていた。
それを3年くらい。
適当なので着脱を可能にしておらず、その間やんわりと胸元を演出している。
で、着脱不可という構造のため、その手のネックレスが邪魔なときは、ぶちぎるより他ない。
そもそも麻ひもはほぐれてちぎれやすく、またほぐれた感じのが首元をくすぐり、大変なのである。
昨年レントゲンの必要性に迫られた僕は、上記のように首飾りを瀕死兵士のようにぶちぎり、看護士さんの恐縮を買った。
そんなぶちぎれ感満載の首飾りが先日机上にて見つかったので、こいつを治すことにしたのだった。
僕のよく行くそこは、何やらビーズの入ったビンがたくさん並んでいる。
しかしビーズのことは皆目見当もつかない。
いつものように麻ひもを1mだけ買っていこうと思ったが、たまには別のひももいいのではないかと、他のものを探してみることに。
麻ひものほかに、革ひも、金属のチェーンなどがあった。
麻ひも1mを買って店をあとにするとき、どうもこの店では麻ひも1mしか買っていないな、と思った。
そして毎回、首飾りに麻ひも1mもいらないな、とも思った。
でも、残ったひものことは考えなかった。
引き出しを開けたら入っているのがわかっているから。
だから、僕がこの店にわざわざ訪れるのは、おそらく革ひもと金属のチェーンにあるはずなのだ。
でも、なんでまた麻ひも1m買ったかね・・・。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です