星のもと

高校のとき、とにかくすごいやつがいた。
確か金子だった。
彼の不思議な能力。
とにかくすごかった。
例えばサッカーの試合で、彼のところにボールが飛んでいったとする。
すると彼は両手を挙げてヘディングするのだ。
要はおどけているのだが、そのおどけの美しさが、ハンパではなかった。
きれいに両手を挙げた。
ベストなタイミングでジャンプした。
これまた絶妙なタイミングでボールが彼の頭に当たり、美しい放物線を描いた。
その、一連の動作があまりに美しいため、試合中であるのに誰も彼を責めず。
むしろ笑い声が生じたくらいだ。
彼はそういう人間なのだ。
おそらく、彼がウェディングケーキを運べば必ずバナナの皮が落ちているのだし、自動ドアも閉まるの早い。
そばの出前の人が突っ込んでくるだろうし、案の定ウェディングケーキを手放してしまったとき、それは頭に乗るのである。
別にケーキを持ってなかったとしても、向こうからよそ見しているサーティーワンのアイスを手にした男の子が来るし、うすっぺらく大きい板を運ぶ配達員も横切る。
もはや奇跡としか言いようのない「お魚をくわえたどらねこ」すら拝めるんじゃないかという気にさせる。
僕が言ってもナンなのだが、とにかくセンスがよかったのだ。
とにかくうまいこと、彼はものを言った。
それでいて、彼は確かかっこよかった。
ちょい異国情緒あふれる顔立ちだった気がする。
よって、おそらく好きな人と一緒にいるのなら、目の前の子供は風船を手離してしまうし、汚れた子犬が目の前に現れる。
困っている老人も現れるだろうし、手ごろな不良(!!)も期待できるだろう。
うまい角度に夕日も当たるのだろうし、そもそも一人でいたとしても、雨宿りしている女の子に出会う。ハンカチを落とす。小銭をぶちまける。坂で柑橘類を放流する。転ぶ。
不思議なものだが、そうなってしまうのだから仕方がない。
いつか「そういう生まれ」についてのことを書いた気もするが、おそらく彼も「そういう生まれ」なのだろう。
「そういう生まれ」になるには、現在は何をすればいいんだろう?。

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