明日の予定

【司会】
さて、「恐怖の体験」の時間がやってきました。
では佐藤さん、お願いします。
【佐藤さん】
これは、僕の友人のことなんですけれど。
彼、一時期すごく暇で、もう本当に暇で暇で仕方がないころがあったんですね。
今では「休むことのできるのは、フォークとナイフを使わなくてはならない西洋料理の時間だけさ」と言っているように、すごく忙しいんですけど。
そんな彼の部屋から、一冊のスケジュール帳が出てきたんです。
彼自身の。
そう、それはあの暇で暇でしょうがなかった頃のスケジュール帳なんですよ。
それを懐かしさもあってか、彼はナイフを置いてそれをぱらぱらめくり始めたんです。
そうしたら彼は恐ろしさのあまりそのスケジュール帳を落としてしまいました。
【司会】
どうしたんでしょう?。
【佐藤さん】
そのスケジュール帳、全ての日に「明日」と書かれていたんです。
【司会】
・・・と言いますと?。
【佐藤さん】
いいですか。
そのとき、彼はすごく暇でした。
だから、明日の予定なんてなかったんです。
でも、ひとつだけ確実なことがありました。
それは、明日が「明日」である、ということです。
暇な彼にとって、明日のスケジュールは今日から見ての「明日」であること以外になかったんです。
だから、ずっと「明日」と書かれていたんです。
【司会】
そうなると、もし彼が暇なうえにものぐさで、明日の予定なんか立てないで、その日その日でスケジューリングするような人であったなら・・・。
【佐藤さん】
もちろん、スケジュール帳には「今日」という文字に埋め尽くされていたでしょう。
【会場】
こっ、こわぁー

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