奇妙なプロット

毎年正月と言えば、ほぼだらりと過ごしていた。
しかし今年は違う。
遊びに出た。
先輩の家で鍋をやろうということになり、さっそく出向いた僕らは、到着するなりカニの甲羅むきを行う。
あとの晩餐で食べやすいようにするため。
砕くたびにほとばしるかにしぶきをやり過ごした僕らは、次に餅つき機というものを見た。
パンやうどんもこねる事ができるというそれのなかで蠢く餅は、それはもう生をなしていた。
僕が餅のことを知らないで、その蠢く白いものを見たなら、餅つき機ごと冷凍庫に放り込んでいたかもしれない。
僕は映画「ブロブ」を思い出していたのだ。
僕が餅のことを知っていて、本当によかった。
餅がつき終わるころには鍋の用意ができていたけど、まずはかにだった。
かにの食べ方は、人によって2通りあった。
足を一本ほじくって、それを食べる人もいれば、とにかくたくさんの足をほじくりまくって、それをストックする人もいた。
僕はストック側だった。
鍋ができた。
さっそくつつきあいが始まった。
かにで結構満たされていたけど、鍋もおいしかった。
餅が入ると、さらに正月さが増した。
鍋が終わるころ、次は甘味タイムだった。
手作りケーキにいちご。
僕はワッフルを持っていったから、それらが一同に僕らの前に来た。
それを食べ終えると、誰かが「お盆が来た」と言った。
お正月はちょうど来ているため、お盆が来ただけで十分なのだ。
スキューバダイビングをたしなむ先輩から、海中で撮影した生き物の写真を見せてもらった。
やっぱり、ウミウシなんだなあと思った。
膨れた腹を抑えながら、帰路につく。
ここまで正月らしいことって、そうはない。

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