遅検閲

舌が、酸味等で腐敗したものを感知し、食べないようにするための器官であるなら、それが口の中にあるのはちょっとへんだ。
そんなことを飲み会の帰り、考えた。
口の中と言えば、食物たちが栄養になるための、最初の通過地点だ。
僕なりの考えだが、腐ったものはここに入る前にチェックされていた方がいいと思う。
「あれ、なんかすっぱいぞ・・・。しまった、腐ってたか。」
この時点で、いくらかの腐敗チウムが体内に取り込まれていると思われる。
もっと先に、腐敗していることを教えてくれよ、舌!!。
でも、舌としては食物をうまく食道へ運んだり、つまったものをぐりぐりしたり、もちろん味もわかるし、触感とかも感知できるよ、と言いたいところだろう。
よって、まぁ舌のことは許してあげて、対象物を食べられるか、判別できる器官が、別途必要となる。
まずは指先だ。
いつか指先で味を感じる話をしたかもしれない。
食材に触れるだけでなんとなく味がわかるため、腐敗や辛味で口内を脅かされることが無くなる。
ただし、指にそんなのがあると、例えば電車のてすりには誰も触らなくなりそう。
お金もあまりいじりたくなりそうだし、握手なんてのはより始原的な意味合いを持ちそうだ。
ということで、指先で味を感じ取ることができる世界には、触るところに前もってシトラスの味などを付加することのできる、リップクリームのような商品があるだろう。
手袋も売れるが、一応指先は出てないと役に立たないため、ライダーがしてそうな指先ちょんぎれ手袋だろう。
次にほっぺ。
食物を口に入れる前に、一旦そのそばにあるほっぺに触れされるのだ。
みんな、幼稚園児のナポリタン食事風景になること、うけあいである。
わきの下なんて、どうだろう。
この世界の認識では、ちょっと汚げだ。
だが、実際にそこに味蕾的なものがあったりした場合、そこに飴玉等を仕込むことで、いつも甘みを感じていることができるというメリットもある。
・・・ラッコかなにかか、おまえは。
ということを考えていると、むしろ舌にとって味覚は最重要機能ではなく、嚥下等の補助の意味合いが強い器官であった、とか言えそうだ。
さっきは攻めたりして、ごめんな舌。
僕は、そんなお前で虫歯をつつくのが、大好きなことを、今思い出したよ。

仙人はいそがしく。 2

昨日からのつづき。
【あらすじ】
フルーツ紅茶というものを飲んだが、ほぼオレンジだった。
紅茶、負けるな。
「オレンジよりも強い茶葉」を求める、机上の旅路へ。
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オレンジよりも強い茶葉は、いずこに。
ひとつ言えるのは、そこらの茶葉ではオレンジに負けてしまう可能性が高い、という点である。
そうでなかったら、フルーツ紅茶は、もっと紅茶紅茶しているはずだから。
よって、強い茶葉は秘境にあるに違いない。
ここで自動販売機から席に戻った我々は、恐らくその秘境とは、ギアナ高地か中国の山奥の方、であると断定する。
秘境といえばギアナ高地か中国の山奥の方。
万人が納得のチョイスである。
ところで、強い茶葉。
ギアナ高地や中国の山奥の方にあるようなのだが、その入手は困難を極めるにちがいない。
なんたって秘境なのだから、常人には無理だ。
しかし、我々は「フルーツ紅茶」を美味しくしなければならない。
秘境の強茶葉を取得する必要があるのだ。
ということで、仙人の登場である。
「仙人に茶葉を取ってきてもらうのがよいのではないか。」
仲間の一人が優れた意見を出した。
この世には70億に迫る人間が存在するという。
そのうちの1人がギアナ仙人でも、おかしくはない。
この際、「私はギアナで仙人をしています。」とバーなどで語るだけでも、そうであるとしよう。
しかし、この仙人委託案は暗礁に乗り上げる。
「仙人への謝礼は、どうするべきか。」である。
もちろん、無償でやってもらえるかもしれないが、そこはギブアンドテイク。
安定した強茶葉の供給には、そういう関係があったほうがいいのだ。
しかし、相手は仙人である。
あの仙人。
くねくねした杖の似合う仙人。
あごひげが長いので、いつもがけっぷちに立っていると噂の仙人。
山に隠って暇なので、いくつものけもの道を作って遊ぶような仙人。
何かを欲することがあるだろうか。
山吹色の菓子折りなども、効果が無いだろう。
ここで我々のひとりが、「仙人は霞を食う」という噂があることを思い出した。
何かの比喩かもしれないが、とにかく食うという。
考えるに、霞は食べるのにすごく時間のかかりそうなものである。
よって、これを濃縮したものは、仙人にとって霞を食べる時間を大幅に短縮するものではないだろうか。
これを強茶葉と交換するようにすれば、我々は強茶葉を入手でき、仙人は長い食事から開放されることとなる。
万事解決である。
ということで「フルーツ紅茶の会社は、六甲のおいしい水とかを用意しておいてもらいたい」。
率直でない空論である。

仙人はいそがしく。 1

「フルーツ紅茶」。
発端である。
まず我々は、この飲料に使われているフルーツが「オレンジ」であることを確認した。
「なぜオレンジ紅茶と言わないのか。」
率直な感想である。
そして、我々はその飲料に26%のオレンジ果汁が含まれており、それが「紅茶と果汁の黄金比」であると書かれているのを確認した。
「25%でいいやん…。」
半端な数字は、そうでないものよりも印象を深く与える。
「紅茶と果汁の黄金率を実験したら、こんな半端な数字でした。ちゃんと実験した感じがするでしょ?」
率直な感想である。
さらに我々は、その飲料を口に含み、ほぼオレンジジュースであることを確認する。
「オ、オレンジジュースや…。26%しかオレンジ入っていないのに、紅茶が無い・・・。」
「ということは、紅茶よりもオレンジの方が4倍くらい強いんだな。」
正確な意見である。
こうして我々は「オレンジよりも強い茶葉」を机上で求めることとなった。
つづく。

希釈

明日は、大学受験の結果通知が来る日だ。
本命で、ここじゃなきゃ大学に行く意味がないと思っている。
だけど、テストの出来はいまいちだった。
正直、合否は微妙なところだ。
通知が来ても、とても自分で開封して結果を見ることなんてできなそうだ。
親に結果を見てもらおうか。
でもそれじゃほぼ自分で見たのと同じだ。
親が僕を呼ぶ、その声のトーンを考えるだけで、僕は封を開けるときのような、緊迫した気持ちになるだろう。
じゃあ、親に結果を見てもらって、合格なら明後日の朝食にミルクコーヒーを、不合格ならミルクティーを入れてもらう約束をするのはどうだろう。
明後日の朝のタイミングで分かるんだけど、少なくとも席に着くまでは、テーブルの上の飲み物がどちらかなんてわからないし、飲んでみて、もしミルクティーだったとしても、まだ「ミルクコーヒーと間違えたんだな」と思うことで少しは心を刺激せずに済むかもしれない。
・・・だめだ、そんなことをしたら明日はミルク何々のことで、頭が一杯になってしまう・・・。
それに何かの理由でカルーア・ミルク を出されてしまったら、とか考えるだけでも眠れない。
結局、こんなことでは僕の不安は希釈されないようだ。
どうしよう・・・。
そして当日。
「ということで母さん。結果通知が来たら、この小ビンに入れて、相模湾のほうに向かってくれない?」

土曜日の実験室

週休二日制が人々から何を奪ったかというと、それは「土曜日の実験室」に他ならない。
確かにこのキーワードの持つノスタルジックっぷりは、「時をかける少女」という映画を見たものにとっては、すこぶる感慨深いものである。
しかし、そうでないものにとっても、なんとなく青春やなつかしさ、不可侵の思い出という感じを受けるのではないだろうか。
週末で、午前中に授業はおしまい。
部活なのか何なのか、なんとなく実験室に集まってきた生徒達は、下校中の下級生をみずでっぽうで狙撃する。
実験なぞ、しないのだ。
そして町が赤く染まるころ、内部闘争によりびしょ濡れとなった彼らは、帰宅する。
まぁ、こんな感じだ。
信頼性の高い検証によると、この「土曜日の実験室」という言葉を聞くと、中高年層の12%に新陳代謝の活性化が認められ、7%はそれを肴とし、酒がすすむという。
驚くことに、この結果は魚類を除いた脊椎動物全般にも認められたということである。
魚類め。
この気持ちが味わえなくて、ざんねんだったな!!。
「土曜日の実験室」は「夏のうだるような暑さ、甲子園」「もう、線香花火しかないね」などの名ノスタルシーンと並び、我々の胸をきゅんとさせ続けるものであるが、週休二日制はその機会を減らしてしまった。
休みもうれしいがその点、ちとかなしいのである。

好青年

最近は使われるのだろうか「好青年」。
道端を掃除しながら、道行く人にあいさつ。
サワヤカ男前で、電車ドア付近に立ってしまったら、誰も降りなさそうな駅でも、率先して道を開けるため、下車する。
いつも肩には小鳥がとまっており、足元をリスが忙しそうにまとわりつく。
声を発すれば、それは美しい旋律となり、周りの人々を魅了。
歩いたあとには、色とりどりの花びらが落ちているという。
ところで今回は好青年の「好」についてだ。
なんなんだ、好。
意味は分かるが、そう使っていいのだろうか。
もちろんいいんだよな、ということで、使ってみようと思う。
「青年」だけでなく、「敵(好敵手)」などで使えるのだ。
他で使えないはずはない。
1:好怪盗
いわゆる「義賊」の類いではないだろうか。
漫画などで時おりみられる「快盗?」と同義だろう。
盗みはするが、そのあとにはもっといいものを置いたりする。また、現場には花びらが散乱しているため、好怪盗の犯行であることが分かり、冴羽獠似の刑事がくそうと言う。
2:好失速
自転車や車での話なら、使いやすい。
好失速が事故を未然に防ぐのだ。
後ろの車が急ブレーキにならないように、知らせるようにテールランプを点灯させる前の車。
好失速である。
また、ほどほどの成績のヤツが、何故か中間テストであまりいい点を取れなかった。
と思ったら、週末テストではクラス上位の成績に。
これも好失速のいい例である。
3:好アルカリ
アルカリ電池はどれも同じはずだが、なにやらやたらもつヤツがいままでいなかっただろうか。
メーカーが従来品に、ひそかにしのばせた新製品に違いない。
我々はその、やたらもつ電池に対して「ナイス好アルカリ」と呼ぶ。
なかなか使えるようだ、「好」。
「好々爺」なんて、ダブルパンチだもんな。
みんなも要所で使ってみよう!!。
ところで、「好」は「プレー」という言葉にも使用される。
そのため、「珍青年」というものもあることは、想像に難くない。
珍青年。
ズッコケ三人組とズッコケ中年三人組の間くらいのメンツだろうか。

直射による、ひきわり。

最近、ちょっと面白いのではないか、と思っていることがある。
ある商品を手に取り、そこに書かれている単語をひとつ、選ぶ。
そして被題者(?)に対して、その単語がどのように使用されているかを問うのだ。
例えば「缶コーヒー」には、その商品のどこかに「直射」という言葉が使われている。
「直射日光を避けて・・・」という、例の警告文を思い出せなかったら、ちょっと「直射」と缶コーヒーは結びつかない。
どちらかというと「直射」は缶コーヒーではなくビームであり、ぎりぎりデカビタCなら許せる、と思う。
まぁ、とにかくそういうことだ。
例えばスナック菓子に、上の例を当てはめてみよう。
もしその商品の裏などに「ひきわり」という言葉が記載されていたら、それはすごく今回の問題に沿うお話となる。
「この商品はひきわり納豆とは全く関係ございません」
こんなことが書かれているスナック菓子を見たことがないが、このように意外性があるものは映え、これをクイズっぽくすることで、ちょっとした知識欲も満たせよう。
ところで気になるのは、このスナック菓子とひきわり納豆との関係である。
昔、因縁があったようで、それはいい方向のものではなさそうだ。
何かの拍子にひきわり納豆として豆腐の横に並べられてしまったのだろうか。
そしてお客さんからクレームが。
「ひきわり納豆だと思っていたら、スナック菓子でした」
メーカーが注意書きを記載するのも、無理はない。
このように、ちょっと意外性のあるコメントがちょっと気になるモンスターハンター日和である。

息継ぎ

花粉症の症状が最近ひどい。
鼻が完全にふさがっているため、食事中、何かを飲み込むときは息を止めねばならぬ。
何かを口に入れるたびに、ため息をつく。
こりゃ、ちょっと失礼だな。
でもしょうがない。
この季節、僕ら花粉症のものは、スープで息継ぎが必要なのである。

来週

来週のサザエさんは?
モチと掃除機
魂の明滅
ふ・れ・あ・い
再来週のサザエさんは?
タラちゃんが笑った
コルホーズ、コルホーズ
Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!
前回のサザエさんは?
カトマンズの夜は更けて
強行突破
いつも舌打ち

死んでいる様相

知らぬ人が倒れていたとする。
どうやら死んでいるようだ。
このとき、驚く人もいれば、助けようとする人もいる。
しかし、みんな、一瞬かもしれないが、心底おびえるはずである。
それは何に対してだろうか。
その人を死に追いやったなにかが、近くにいるかもしれないからだろうか。
自分と同じく動いていたものが、その動作を終えたことを感じ、いつか自分も同様の結末を迎えると思い知らされることに対しての失望か。
場面によるだろうが、僕はそうは思わない。
もっと単純に「死んでると思うんだけど、いきなり動き出したらどうしよう」という点で、恐怖しているのだと思う。
静的だと判断したものが、いきなり動的になる。
その性質の移行は、特にこのような緊迫した状況では恐怖にもなるのだ。
ということで、今までの話の点のみを考慮すると、金田一耕助シリーズに登場する死体は、かなり人にやさしい。
もう、絶対死んでるよね、をよく出してくれている。
だいぶ死んでるアピールがすごいため、「いきなり動き出したらどうしよう」という不安を感じることも無いのだ。
誰も、水中で逆立ちして遊んでいるとは思わないし、同様に、凍った湖面に頭から刺さって、頭を冷やしているとも思わない。
逆にそれで生きていたりしたら、それは明らかに悪意のあるいたずら行為であり、許しがたいものがある。
法的な手段に訴え、そんな不謹慎なやつを合法的に死へと追いやることができるかもしれない。
そして今回は、それ自体がちと不謹慎であり、ごめんなさいである。
4/1の力を借りることにする。