何か本を。

本が売れなくなって、という話を聞くが、よく行く本屋さんは混んでいる。
都心の大型書店もやたら混んでいる。
僕の小さい頃を思い返したって、こんなに本屋さんが混んでいることはなかったと思う。
局所的なのだろうけど。
それでも、その混雑ぶりを見る限りは、みんな本大好きという感じだ。
ただ、とにかく色んな種類の本が出ているので、そこから読みたい本を選ぶのは至難の業だ。
レジに並ぶお客さんは、自分の読みたい本を選び出した勝者なのだった。
ところで、ここ何年かの本屋さんは、ポップであふれている。
新刊のところにびょーんと出ている、広告だ。
「うずくまって泣きました」だったか。
モルヒネという本に飾ってあるポップだ。
まだ未読なのだが、泣いたのは本の登場人物か、著者さんか、店員さんか。
ポップでそう言われると、かなり唐突感があるので「うずくまって泣きました」「あ、そー・・・」という風になってしまう。
僕はこのポップを見るたびに、心の中で「あ、そー・・・」と反応することにしている。
「あ、そー・・・」と心の中でつぶやいたあと、近くの本を物色していると、違うポップが。
誰の本かは見なかったけれど、ポップは
「むせび泣きました」という感じだった。
ちょっと、泣きポップが集まりすぎている区画であった。
泣きすぎである。
もう、泣けばいいと思っているんだから。
本を探しに来たのだが、いじわるなドラマのサブキャラみたいになってしまった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です