えび・空からのおくりもの

道を歩いていると、「海鮮かつ丼」という旗が、はためいていた。
かつ丼にえびの天ぷらがのっている商品のようだ。
かつ丼のお店ということもあって店側はゆずらないだろうが、これは「天丼の上にとんかつがのっている」という見方もできるはずだ。
と、なると。
天丼屋がそのような商品を開発したら、どのような名称となるのだろうか。
「かつ天丼」
一見大丈夫そうだが、ちょっと「肉の天ぷらだけがのっている?」と勘違いされやすそうだ。
「肉天丼」
これも「かつ天丼」と同様の問題点があるだろう。
「肉感天丼」
なんだか、歌舞伎町とかで売っていそうな感じになってしまった。
このように、天丼屋では「かつ+天丼」商品の命名がうまくいかない。
これは、天丼で最重要項目である「えび」を「天ぷらの天」に置き換えてしまっているからである。
ためしに、天丼の天を、本来のえびに戻してみよう。
「かつえび丼」
かつとえびがのっていることは明白だろう。
※えびをミンチ状にして揚げた、いわゆる「えびかつ」とは単語の順が違うので「えびかつじゃないよ」雰囲気も出てる。
なぜ天丼屋は「えび」を「天」と置き換えてしまったのだろうか。
思うに、以前「えび丼」と呼ばれる食べ物があったからではないだろうか。
それとの差別化をはかるため、あえてえびのことには触れず、天ぷらを取り上げたのではないかと推測できる。
また「もともと天丼はえび以外にもいろいろな天ぷらをのせていた」という可能性もある。
この説の優れているところは、現在も天丼にはししとう、きすなどの非えび食材が使用されている点にある。
昔の名残なのだ。
さらにしゃちほこが関与していた可能性も否定できない。
「えび丼」なんてなかった。
「えび」しかのせてなかった。
だが、いつかのアイデアマンが、天丼のえびを城の天守閣の屋根に君臨するしゃちほこに見ててしまったのだ。
結果、天丼と呼ばれることになる。
天丼屋はこの「天」問題を解決しなければならない。
そうしないと、もし「天丼の上にとんかつをのせたもの」を開発しても、それは「天丼の上にとんかつをのせたもの」としか呼ばれないのである。

「えび・空からのおくりもの」への3件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    無難にいくなら『天かつ丼』
    流行に乗るなら『天☆かつ』
    女性向けなら『天丼ととんかつのアバンチュール』か『天丼ととんかつのあいのり』
    男性向けなら『魁!油二重奏!』
    名作風なら『乗らないとんかつは、ただの油豚だ』

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    「肉感天丼」にグッときてたら、カルスさんの回答にハッとしました。
    グッときてハッです。脱帽です・・・。

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >>カルス
    名作風なら『乗らないとんかつは、ただの油豚だ』
    え、えびが・・・。
    >>ダミアン
    あとは、いつ恋に目覚めるか、ですね。

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