ふるまい2つ。

昨日、知らないおじさんの後ろに並んでいたら、近くで2人の男達が路上コントのようなものをやり始めた。
みんな集まれ的なことを叫んでいる。
並んでいるおじさんも、僕も、そちらに目がいく。
「はい、目を閉じてくださーい!!。」
人を集めといて目をつむれとは、どういうことだろうか。
「では今から、ドナルドダックの笑い声のマネをしまーす!!。」
そうか、マネするか。
と、次の瞬間、かなり驚かされた。
ドナルドダックのものまねを聞いた観客達が、予想以上の歓声をあげたのだ。
もちろん、ここで書きたいことは、ドナルドダックのマネがどうこうや、コントの出来などではない。
予想以上の歓声は、観客達の多くが、今までの人生の中でドナルドダックのマネをしたことがないことを示しているのだ。
僕が思うに、ドナルドダックをマネる能力の獲得には2つのステップが必要だと考えている。
1つ目は、ドナルドダックの声に触れることだ。
これは、油断さえしなければ、幼少期に経験済みとなるはず。
単にガーガー言うだけでなく、いかにも何か言ってそうな、怒ってそうな口調(?)は、僕らの脳裏に焼きつくはずだ。
2つ目は、声喩を口にすることだ。
これだって、たいていの人は「ワンワン」とか「キュイーン」とか「どーん」とか言っているはず。
好きな曲があれば、そのメロディーをも口に出してしまうムーディも多いだろう。
そして、口に出すからには本物の音に近づけたいというもの。
例えば、どーんと言う人は、
「あぁ、あれね、言うの?、あぁ、はいはい、どーん、と。ほら、ね・・・。」
とかいうよりは、
「ずごごごごごご、どぅどぉーーーーーん!!、じょふぁああああああ!!、ぎゃあぁぁぁぁ!!!、シィィィタァァァァァ!!!!!!」
とかのほうを目標としており、
「パズゥゥゥゥゥゥ!!!!!」となるはずだ。
この2ステップを学ぶシーンを逃さなければ、たいがいどこかのタイミングの「どーんリアル節練習中」において、「あれ、何かドナルドっぽくね」的な口の形と吐息の出し方が発見されるのである。
歓声をあげた人たちは、これらのステップのどちらか、もしくは両方を学ぶタイミングを逃したがゆえに、「自分には到底ドナルドは無理だよ」と思ってしまっている。
そんなことはない。
その気になれば、ドナルドはいけるはずだ。
並びながら、そんなことを思う。
ふと、前の背中に気付く。
おじさんはドナルドを聞きに来たのではない。
僕だってそうだ。
場所、NHKホール。
井上陽水コンサート会場だ。

「ふるまい2つ。」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    おー、コンサート行ってきたんですか。そういう所にいかなそうな感じなのにー。
    俺はドナルドよりもムスカ大佐が好きです。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ドナルドとムスカ大佐を比べるのも、どうか。

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